税理士試験はどの科目を受けるのがいいのか

皆さんこんにちは。
新座市・志木市・朝霞市を中心に会計事務所を運営しています
税理士の吉原です。
さ、今は2026年7月。
税理士試験としては、追い込みのシーズンに入っております。
私が最後に受験したのは6年前の2020年ですが、
当時はコロナ全盛期でござんした。
埼玉県会場はなくなり、
千葉県の幕張メッセまで飛ばされて、
会場の体温測定で規定以上なら即強制帰宅というひやひやの年でした。
結局その年で合格できて、
合格を見たときは嬉しかったのですが、
私はけっこう税理士試験自体が好きだったので、
青春が終わったみたいで一抹の寂しさを覚えましたね。
そんな私が、税理士試験について考えてみます。
題して、「どの科目を受けるのがいいのか」!!
科目選定を考える基準は?
どの科目を受けるのがいいのか、という問いは、
①早期の合格を目指すにはどの科目にすればよいか
②税理士としての知識や見識を広げるためにどの科目にすればよいか
に大別できます。
私が現役受験生だったころは会計事務所に入所したばかりで、
仕事をする上での体系的な知識をインストールしておきたい、と思っていましたので、
②を重視して科目選びをしていました。
しかし今回は①!
①!①!①!
とにかく早く合格するためには?という視点から考えてみます。
大学院に行くのが一番早い、というのはその通り。
私もそれが一番いいと思っています。
けど今回はそれが本旨ではないのでいったん脇に置く。
まず科目選定にあたって状況を図示するとこうなっていますね。

法人税法か所得税法のどちらかを選び、
あとは残りの中から(所得と法人のうち選ばなかった方も可)2科目を選ぶと。
私の考える選定基準ですが、この3つです。
①受験者が多く、かつ受験者層のレベルが高くないこと。
②試験自体の難易度が適度であること
③勉強に取り組みやすいこと
①受験者が多く、かつ受験者層のレベルが高くないこと。
税理士試験は実質的な相対試験なので、
上位10パーセントに入る必要があります。
そのため、合格人数の絶対数は多い方がいい。
合格者の絶対数が多いことをもって即受かりやすいというわけではありませんが、
税理士試験特有の事情と受験者の思惑が関係していまして、
この試験でいえば、受験者が多い科目が正解だと考えています。
「受験者層のレベルが高くないこと」、
これは測定ができないので推定と肌感覚に基づくほかはありませんが、
相続税など、明らかに受験者レベルが高い科目は避けるのが無難でしょう。
②試験自体の難易度が適度であること
年によってばらつきはありますが、
明らかに過去の問題から、科目による難易の傾向が存在していますよね。
例えば、相続税は要求レベルが高い設問傾向にあり、
住民税などはミスが許されない問題になりがち。
一番いいのは、
相応の勉強をした実力者が実力を出して上の点数をとることで、
できる人には解けるが実力不足の人には解けない、
いわゆる「差がつく」問題の成否によって合否がわかれること。
誰もが解ける簡単な問題しか出なければ、
一定の実力以上であれば差がつかず、格が下でも合格の可能性がある。
さながら、弱い逃げ馬がスローペースで残ってしまうのと同じですね。
要は紛れが少ない方がいい、ということです。
③勉強に取り組みやすいこと
勉強内容が実務に直結していることが、
勉強のモチベーション・知識の定着に相当有利に働きます。
働きながら勉強されている方はなおさら。
次に、計算問題の内容を理論で補強し、
理論で覚えた法律を、計算を通じて演繹する、
という好サイクルが生まれる科目が望ましいでしょう。
まあこれは大体そうですが、
相続税は当てはまらないんですね。
理論で覚えるべきことと、計算でやる内容がリンクしていないので、
負担が大きいです。
あとは理論しかない国税徴収法もそうですね。
これがおすすめ科目だ!
結論を申し上げましょう。
これが!私の考えるおすすめ科目です!
・法人税法
・消費税法
・国税徴収法
・・全然面白くなくてすまん。
法人税法
・法人税法の受験者数(申込ベース)は、
令和7年が4,715人。
令和8年が4,824人となっており、
税法の中では最多です。
言わずと知れた必修科目であり、
法人顧問を主業とする税理士としては、実務に直結する税法。
年に1度の確定申告の機会しかない所得税法との二択では相対的に選ばれやすい。
受検者層のレベルの高さはどうでしょう。
大学院に行かれる方で、これを取られる方はさほど多くはないと思いますので、
そもそも受験者の大部分は5科目を取ろうという覚悟をもってきている方。
本題とはずれますが、
2025年4月~2026年3月の1年間で、
試験合格での税理士登録が約570人に対し、試験免除が約1600人とのこと。
すなわち、5科目受験のほうが今は少数派なのです。
つまり、ボリュームが多いのがわかっていて、しかもそれを回避する術があることを知っているが、
あえて受験する人々から構成されており、
そもそものモチベーションが高い層だといえます。
・試験範囲は膨大で、理論覚えが面倒ですが、
実務にはつながる内容。
完全支配関係、グループ通算、組織再編税制など、
実務で出てきたときの 少し冷や汗論点 を勉強する足掛かりには最適です。
・試験自体の内容ですが、
ま、これは法人税法の採点講師をやっていた経験も込みで・・
その範囲の膨大さゆえに、みんな完全にはカバーしきれず、
差がつく問題を通じての実力差が如実に出ます。
予備校間のヤマの当たりはずれはあっても、波乱・下剋上は少ない。
めっちゃフェアな殴り合い。
組織再編関係を全捨てする人がいるので、私は当時、逆に出題してほしいと思ってました。
消費税法
税賠最多で、税理士にとって最もリスクのある税金となった消費税。
税法科目の中でも最重要の位置を獲得したようで、
受験者数が第一位となりました。よかったね。
簿財との同時受験をする方、大学院免除のためのラスト1科目(消費税はやっときたいという思惑)を狙う方、
税法の第1科目として選択する方など、実に多様なバックボーンを抱え、
さながら人種のるつぼです(言いたいだけ)。
ゆえに受験者レベルにばらつきがありますが、
税法初学者が多いという時点で、他の税法より明らかに有利。
勉強した内容がすぐに実務にも生かせるという、素晴らしい即効性。
海外取引やリバースチャージなど、ちょっと小難しい論点も吸収できる懐の深さ。
トータルで考えて、ぜひ受験すべき一科目でしょう。
国税徴収法
最初は法人税法、所得税法から、
あとは流れで事業税・住民税が一番いいかなと思っていたんですが。
体系が頭に入っているので、習得が比較的容易だし。
でもほかの受験者も同じことを考えている気がするんですよね。
結果として法人税法等の合格を経験した受験者から構成される層のレベルは高いのでは?
仮に高くなくても、
極度の緊張の中でワンミス退場はあまりに精神への負荷がでかい。
このような理由で、
いわゆるミニ税法を回避した人の受け皿になっているのが本税法。
いまや受験者が所得税より多いですからね。
まずこうしたレベル感を伴っていなさそうな受験者数の増がいい。
次に理論100パーセントなので、計算よりもケアレスミスの発生が抑えられる。
しっかり覚えていれば、実力を示した答案を採点者に見せることができる。
実にフェアな殴り合い。
これもいい。
実務に直結はしませんが、意外と納税猶予、換価の猶予のお手伝いをする仕事はあるので、
ま、年1くらいではあるので、知識が無駄にならない。
税理士が手薄な民法をかじれる。
この辺もいい。計算との相乗サイクルを回せないのはマイナスだが、
まあそこまででもない。
私、受験はしていませんが、受験していた周囲の話も併せて聞くと、
おすすめできるかなと思った次第です。
吉原の受験歴
で、君は?ということで、
私の受験歴を見てみましょう。
2017年 〇簿記論 〇財務諸表論
2018年 〇法人税法
2019年 ×所得税法 ×相続税法
2020年 〇消費税法 〇所得税法
税理士仲間で受験の話になることがありますが、
フルタイム勤務で4年間での合格は概して「早めにとれたほう」になると思います。
しかし、財務諸表論は合格率30%の当たり年、
法人税法は二大予備校のうち片方に超絶有利な内容(もう片方で教えていないような内容だった)での漁夫の利、
所得税法は競馬が好きな人なら誰でも解ける問題(馬券裁判)というラッキーの連続に恵まれての結果です。
一般的に5科目合格までどのくらいの年数がかかるかについて、
正式な統計は存在していませんが、
Markの資格Hack (税理士試験)
https://shikaku-hack.hatenablog.com/entry/20180711How_long_does_it_take_to_pass_Zeirishi_exam
こちらのブログ記事が参考になります。
こちらによると、国税庁への開示請求の結果として、
平成29年度の数字ではありますが、10.37年と推計なさっています。
それなりに肌感覚とも一致する数字ですね。
早期合格を目指すなら相続税はやめとこう
いろいろ書いてきましたが、結局言いたいのこれかも。
受験者レベルの高さ、勉強の進めづらさなど合格に向けての悪条件がそろっている。
資産税への橋渡しがなされるのはよいのですが、その悪条件のほうが勝る。
私は相続税法を不合格になった際、
所得税と比較すると終始手ごたえがなかったんですね。
これは厳しいぞと。
受験者に明らかな手練れがいっぱいいる。
深海魚がたくさんいる。
実務上要請される必要から、
あるいは己の知的好奇心の探求として、
あえてこの複雑な試験を受けている、色々な意味でレベルの高い人が多い、という印象を持ちました。
それで、もっと浅瀬の方にいったほうがいい、
ということで消費税法に乗り換えたのです。
結果、合格はしましたが、
相続税法を打倒できなかった感覚がずっと残っています。
ですので、難しいこの試験を受験されている方、本当にすごいと思っています。
ぜひ合格を掴みとってほしいですね!!
ということで皆さん頑張ってください
会計事務所あるあるなんですが、意外と受験生の方でも勉強しないんですよね。
勉強が難しくなってくる1月以降に業務がピークを迎えてしまうからか、
試験に申し込んで当日いかない、そもそも申し込んでいない、そういう友人がぼちぼちいました。
「水は低きに流れ、人は易きに流れる」
残りはあとわずか、ここからの最後の頑張りを応援しています!
オンオフのメリハリをつけながら、勉強習慣を崩さないように頑張ってくださいね!

コメント