経営セーフティ共済(倒産防止共済)の掛金を払ったらこの会計処理一択!資産計上方式のメリットは?

皆さんこんにちは。
新座市・志木市・朝霞市を中心に会計事務所を運営しています
税理士の吉原です。
今日は、前回説明しました経営セーフティ共済について、
掛金を支払った際の会計処理について説明したいと思います!
【前回記事】節税の大きな味方!? 倒産防止共済(経営セーフティ共済)に入るときはここに気を付けよう
えっ興味ないですか?
いや、この処理一つでけっこう色々と変わってくるのです。
カレーにスパイス入れるみたいなもんで、
このひと手間で美味しくなるのです。決算書が。
現在、すでに経営セーフティ共済に加入済みの方にもおすすめできますので、
ぜひお読みください。
経営セーフティ共済の掛金を資産計上する・・とは?
資産計上してみる
経営セーフティ共済の掛金を支払う。
これによって、法人であれば損金算入、個人事業主であれば必要経費算入となります。
平たく言えば経費になるということです。
経費になったものを会計処理しようとすると、
通常は、 ○○費 という勘定科目で仕訳を切ることになりますよね。
経営セーフティ共済であれば、
保険料 とか 支払手数料 という科目を置くことが多いと思います。

↑(よくあるのはこういう仕訳。)
この仕訳をこのようにするわけです。

保険積立金でなくても、なんでもいいです。
「積立金」でもいいし、
「倒産防止共済」とか「経営セーフティ共済」という科目を作ってもOK。
科目名はぶっちゃけなんでもいい。
決算書の中で資産が集まる、
「貸借対照表」に表示されればそれでいいのです。
税務上の取り扱いは
では、「保険料」だった掛金を保険積立金にすることで、税務上どのような違いが生じるのか。
これが違いは特にありません。
どちらの方式をとっても問題なく経費にすることが可能です。
というのは、経営セーフティ共済を経費にすることができる、と規定されている
租税特別措置法がそのような建付けになっているからです。
租税特別措置法 第66条の11
特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例
法人が、各事業年度において、長期間にわたつて使用され、又は運用される基金又は信託財産に係る負担金又は掛金で次に掲げるものを支出した場合には、その支出した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
二 独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための同法第2条第2項に規定する共済契約に係る掛金
ここでは、掛金の支出のみが要件となっており、
その掛金の会計処理方法の指定まではされていない。
すなわち、経費として費用の方に計上しなければならん、とはされていません。
つまり、資産計上を行ったとしても、
法人税の申告書の中で損金にすればよいということです。
申告書のイメージとしてはこのようになります。
240万円の利益が出ていたものを、240万円の経営セーフティ共済の前納で0にしたという会社ですね。


会計上の利益は240万円だが、
税金の対象となる所得については、申告書の中で0にしているということです。
資産計上することのメリット
では、資産計上の方式をとることで、
どんなメリットがあるのでしょうか。
①決算書の見栄えがよくなる
最大のメリットはこれです。
一つ例を挙げてみましょう。
240万円の利益が出ている会社が、
期末に駆け込みで経営セーフティ共済に加入して、
240万円の掛金を前納したとします。
このとき、それぞれの方式で、
利益がどう変わるか見ていきます。

経費計上方式の場合は、きれいに利益が0になりましたね。
続いて・・

こちらは利益が240万円残りました!
利益が出るようになるということは、
いわゆる内部留保(繰越利益剰余金)もその分厚くなっています。
貸借対照表上で、資産額の増加と純資産額の増加が同時に行われ、
自己資本比率など、財務の健全性の各指標にプラスの影響があるんですね。
すなわち、金融機関からの評価が高まることにつながります。
いや、厳密には、
経費計上をとった場合でも、
会計処理が異なるだけで積立金を同額積んでいる事実は同じであるので、
見栄えが異なったとしても、その会社の実質的な実力値が変わることはありません。
なので、資産計上方式をとったことを理由として、
評価が高まるということは基本的にないはず。
金融機関サイドに経営セーフティ共済を積んでいる事実を把握してもらえれば、
経費計上方式をとっていたとしても、本来は実態としての貸借対照表を考慮してくれるものです。
しかし、金融機関の担当者の方は、
能力や意欲にバラつきがあるのが通常であり、
経営セーフティ共済の有無について必ずフォローされるかというとそれは疑問です。
提出する書類の中に経営セーフティ共済の手がかりがないことも少なくないですから。
そのため、そういった不確定要素を排除するためにも、
最初から資産計上をとっておいた方が安全なのです。

今いくら積み立てているかが、貸借対照表を見れば一目でわかる
掛金を経費に計上するのであれば、
払った期で経費となって貸借対照表に残らず消えていってしまいます。
そのため、
今いくら積み立ててあるのか、
限度額の800万円までいくら残っているのか、
ということについては分からなくなりがち。
毎年、中小企業基盤整備機構から残高などを記載したハガキが送られてくるのですが、
それを待つか、過去の分を集計してみないと把握できません。
しかし、資産計上の方式であれば・・
貸借対照表を見るだけで金額が把握できる。
掛金変更や前納変更の場合など、
あといくら計上する余地があるのか、という点は決算対策の中で確認しなければならない場面がありますから。
株価計算のときに、経営セーフティ共済の評価漏れがなくなる
非上場株式の株価計算を行う際、
大会社方式を適用する会社以外は、同族株主について、原則として純資産価額を求める必要があります。
そのため、会社が所有している資産をすべて洗い出して計算することになるのですが、
当然、経営セーフティ共済の積立金も資産の一種ですから、
金額を求める必要がでてきます。
ここで資産計上方式が物凄く役に立つんですね。
経費計上方式だと、決算書を見ても経営セーフティ共済のことは何にも出ていないわけですよ。
勘定科目内訳明細書にも出ていないし、
その期で掛金を支払っていなければ、法人税申告書にも出てこない。
時に社長や経理担当者に確認する必要が出てくるのです。
この点、資産計上方式ならそんな心配はありません。
だって貸借対照表を見れば出ていますからね。
ただ、明細書への記載の仕方は少し注意する必要があります。
まあこの点は経費計上方式をとったとしても同じですが。

この明細書でいう「帳簿価額」は、税務上の簿価を指します。
したがって、貸借対照表上の積立金の金額から、
法人税の別表の中で減算されている金額をマイナスする必要があります。
「相続税評価額」は、計算時点の解約手当金相当額でOKですね。
なので、3年4か月経過していない場合は、100%返ってこないことを前提に、
一定の解約返戻率を乗じて計算しましょう。その方が有利です。
しかし、率直に言って経営セーフティ共済の計上漏れってけっこうありますよね。
その割に上のチェックは薄いところのような気も。
まあ私は必ず確認はするのですが。
まとめ
経営セーフティ共済が節税策として有効かどうかは諸説ありまして、
私はどちらかというとあまりオススメする立場ではないのですが、
実際に経営セーフティ共済に加入したならば!
資産計上の方式をとった方が有利に働く可能性が高いということをお伝えしました。
これはぜひやりましょう。
申告書の手間が少し増えるくらいのもので、メリットの方が大きいです。
もう既に積立途中だよ、あるいは完了しているという会社さんにつきましては、
途中から会計処理を変更することもやってやれなくはありません。
この場合は、会計規則や税務上の影響などを税理士に相談するのがいいと思います。
それでは、健全な経営セーフティ共済ライフを!
